専門の医院で矯正すること

一般の歯科医院と矯正専門の歯科医院の違い

現在の医療法においては、歯科医師の国家試験に合格さえしていれば「矯正歯科」を診療科目として掲げることが可能です。虫歯治療などで通い慣れた歯医者さんで矯正することを望まれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし矯正歯科は他の科と違って非常に専門性が高く、また高度なセファロ分析技術と診断能力、それを反映させる治療技術が必要となるため、間違いのない治療を望むのであれば専門の教育を受けた矯正歯科医院を選択した方が安心です。 仮に心臓の手術をすることを考えた時に、年間に100症例を担当している心臓の手術専門の先生と、さまざまな外科的手術を行っている中で心臓の手術は年間に5例ぐらいほどという先生ではどちらを選ぶかというと、答えは決まってくると思います。一般の歯科医と矯正専門の歯科医では熟練度や見ている症例の多様さも異なり、多くの症例を見ていればそれだけ有効な治療方法の選択肢も増えてきます。山登りで喩えれば最短のルートで登ることが可能となり、同じ労力をかけて山を登るのならやはり最短の道を通った方が良いと誰もが考えることでしょう。頂上というゴールを見据えた時に、試行錯誤した末に違う地点に行き着いてしまったり、最悪の場合は遭難してしまい山登り自体を諦めてしまったりという事態を招かないためにも、矯正治療を行う際には医院選びを慎重に行うことが大切です。

セカンドオピニオンについて

セカンドオピニオンとは、現在診断を受けている主治医以外の医師に治療について第三者的な意見を求めることを指す言葉であり、治療を納得して受けるため、また自分に合った治療法を見つけるために有効な手段です。ただし、日本でセカンドオピニオンというと「主治医には一切相談せずに他の医院で意見を聞く」というイメージが広く持たれているようです。通常セカンドオピニオンとは「現在診断を受けている歯科医師に了承を得て、紹介と検査結果などの資料一式を受けた上で他の医院で見解を求める」ことを意味します。正確な情報を得るためには、現在の主治医にセカンドオピニオンを希望することを伝え、紹介状や検査のデータを用意してもらう必要があります。紹介状やデータがなくても相談を受ける場合も中にはありますが、これまでの治療の情報がないと正確な診断ができず、一般的な意見しか出せない可能性が高くなります。もし転院を希望される場合は、一度リセットすることにはなりますが治療を引き継いで行うことはもちろん可能ですので、もし他の医院で治療を受けていて疑問点がある場合は、その旨を担当医師に伝えた上でご相談ください。

矯正治療に長い期間がかかる理由

「できるだけ早く矯正治療を終わらせたい」という希望に応える形で「クイック矯正」「スピード矯正」といった名称の矯正方法を謳っているところが最近では増えているようです。しかし矯正治療とは人の身体の生体反応を利用して歯列を整える治療であり、歯に矯正力を加えることで歯槽骨が溶かされたり新しく作られたりする仕組みを活かして歯を移動させていきます。これは人の骨が日々破壊と再生を繰り返す「骨代謝」をしながら新陳代謝して体を支えているために可能となる治療法ですが、この新陳代謝を早めるということは、老化がどんどん進んでしまうことを意味し、どうしても無理が生じます。歯や周囲の組織に負担をかけずに患者さまの体が持つ自然のペースで治療をするためには、ある程度の長い期間が必要になるのです。「低価格」「短時間」などの謳い文句は魅力的に映りますが、時間がかかっても矯正専門の歯科医院でじっくり治療に取り組んだ方が、結果的にスピードとしても最短距離でゴールにたどり着ける可能性が高くなります。

正確な診査・診断を行うために

矯正治療では、セファロ写真撮影とその結果に基づいた詳細な分析が不可欠です。セファロ分析を行わずに見た目や模型だけで判断して矯正治療を行うことはきわめて危険であり、満足いく結果を得ることは難しくなります。それぞれの患者さんにとって良好な治療結果を引き出すためには、頭蓋骨・上顎・下顎の前後的な位置関係や発育に問題がないかどうか、前歯や奥歯の角度や位置などを細かく把握し、データに基づいた根拠によって治療方針を決定する必要があります。当院では一般の歯科医院でも矯正治療の前に行っているレントゲンとセファロの撮影や型取りだけでなく、咬合力や口唇力測定、唾液の検査などを含め矯正治療に必要となる精密検査を時間をかけて行っています。また、治療を開始した後も経過を記録するために3~4か月に1回は必ず写真を撮影しています。転勤などで市外から転院されてくる場合、矯正専門の歯科医院からの転院であれば検査結果や模型、写真、カルテなどが揃っているケースが多いですが、医院によっては全く情報が得られないこともあります。治療を一からやり直すことを避ける意味でも、治療途中でやむなく転院される場合にはそれまで通っていた医院に資料を揃えてもらうよう依頼することが大切です。

矯正治療で見た目の改善以外に得られること

矯正治療とは、不正咬合を正常な咬合に整えて、お口の中の正常な咀嚼機能と環境を取り戻して健康な身体と心を作る治療です。理想的な歯並びと咬み合わせを獲得することで、見た目が美しくなるだけでなく歯磨きがしやすくなって虫歯や歯周病のリスクが減少し、顎の関節への負担も少なくなります。良い咬み合わせは咀しゃく能力を高めて消化吸収を助け、胃腸の負担を軽減して全身の健康や若さの維持にも繋がります。心理面での影響も大きく、「矯正したことで笑顔に自信がついてよりアクティブに人生を楽しめるようになった」と言われる方が数多くいらっしゃいます。歯は皆さま一人一人のピュアな財産であり、一生自分の歯で生活できることほど幸せで贅沢なことはありません。当院は口元と調和した美しい歯並びを実現するお手伝いをして、輝くスマイルを獲得していただくことで患者さまの幸せを追求していきます。