シアトルのファンに愛されているイチロー、地元のファンを大切にしマリナーズと契約延長
先日、サンフランシスコで開催されたメジャーリーグベースボールのオールスターゲームで、オールスターゲーム史上初のランニングホームランを記録し、MVPを獲得しました。本人も興奮気味に饒舌でご機嫌な記者会見をニュースで見ました。本当にイチローはすごいですね。
そのイチローがフリーエージェントの権利を行使せず、大方の予想を覆してシアトルマリナーズと5年間の契約をしましたね。
今年のシーズンオフにはフリーエージェントを行使して、東海岸の金持ち球団に買われていってしまうのではないかと言われていました。過去に、シアトルマリ ナーズはグリフィーJr(レッズ)やランディー・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)、アレックスロドリゲス(ヤンキース)と言った球団の顔であったスー パースターをフリーエージェントで失っています。イチローも・・・と言われていました。
しかし、イチローは14日、マリナーズと5年9000万ドル(約110億円)で契約を延長しました。出来高を含めると総額1億ドル(約122億円)にな るとみられています。日本人選手最高となる大型契約で、平均年俸はメジャー全体の5位タイだそうです。ホームランバッターやエースに高額契約が並ぶ中で、 1番打者にこれだけの契約は異例。そこにこそ、パワー全盛の世界にスピードと技術で分け入ったイチローの価値が表れた契約です。
このうち2500万ドルを2032年まで分割して支給することに合意し(1ドル=約122円)、引退後の保証を確保しマリナーズは、イチローに対して59 歳になるまで年俸を支払い続けるとのことです。今回の契約では再契約金が500万ドルで、2012年までの契約期間中に支払われるのは毎年1200万ド ル。残りの2500万ドルには5.5%の利子がついて、59歳になる2032年まで20年間をかけて支払われるそうです。
さらに来季は住宅手当てとして3万2000ドルが球団から支給され、しかも契約期間の間、毎年1000ドルずつアップされとのこと。また、最新型ジープ かベンツのSUV(スポーツタイプ多目的車)車のどちらかが支給され、それ以外にも年間4度の日本往復ファーストクラス航空券や専属トレーナー、個人通訳 の費用などが支給される契約とか。うらやましい限りです。
イチローは記者会見で「パフォーマンスに関してはもちろんすごい自信がありますし、見た目もこのままでいたい」「5年間思い切りやって、さらに10年間の 契約を勝ち得たい」と、晴れやかな表情でした。5年後は39歳になります。それでもイチローは、自分にプレッシャーをかけることで、さらなる努力を続けど こまでも「イチロー」であり続けようとしている自信とプライドには脱帽です。関係者には「50歳まではプレーしたい」とも話しているそうです。
イチローをマリナーズに引き留めたもの、その最大の要因は球団の姿勢でしょう。マリナーズが示した平均年俸1800万ドルは球団史上最高額。「平均年俸 が500万円だとしたら弥生時代からプレーしないと達成できない数字なのでその評価ってすごいと思うんですよ。1000万でも平安時代ぐらいですから。」 と独特の表現で喜びを表しました。
球団の歴史をつくるために、イチローの契約延長をすることが最大のテーマだった。会見を見守っていた球団CEO(最高経営責任者)ハワード・リンカーン 氏は「これが(イチローと)最後の契約になるとは思わない」とも言った。さらに“生涯マリナーズ”の環境も整えつつある。
この日、試合では2012年までの契約延長を伝える文字が電光掲示板に浮かんだ。前夜はオールスターMVPを祝福したスタンディングオベーションが2夜 連続してわき起こった。イチローはシアトルのファンに帽子を取り深々とお辞儀をした。「よろしくお願いします。お手柔らかに、と。まぁでも、あんだけ喜ん でもらったらうれしいわね」と敬意を表した。
根付くことを決めたチームは、3年連続地区最下位を抜け出し、今年はプレーオフ出場のチャンスがある。決断したイチローがどんな活躍を見せながら、マリナーズでの新しい5年間を見せるか。さらなる高みを目指す挑戦が始まった。
「1つのチームで長い間プレーすることは、たくさんのプレーヤーができることではない。その可能性、チャンスを与えてくれたことに大変感謝しています」
決してやさしい決断ではなかった。シーズン後には生涯初のFA権を行使できた。過去3年間、地区最下位に沈むチームに失望したこともあった。遠征先の敵地ファンから「来年はウチのチームに来てくれ」との温かい言葉に「正直、心が動いた時期もありました」
しかし、残留の決め手となったのは、地元ファンの熱い思いだ。「『シアトルに来年も残ってくれ』と。その声が僕にとっては一番重かった」とイチローは話します。
やはり、ファンから愛され、スタジアムでファンの声援を受けること、これは選手に取って最高の幸せではないでしょうか?シアトルのセーフィコフィールドを訪れたこの5月に私は強くそれを感じ取りました。
「大方の予想に反してシアトルマリナーズに残留するのではないか?」そんな思いにさせてくれるイチローを愛してやまないシアトルのファンとそれに答えようとプレーするイチローの姿がスタジアムにありました。私が感じた感覚は間違いではなかった。そう思うこのごろです。
走攻守で見る者を魅了するのがイチロー。これからも変わらぬプレーを見せてくれることを期待しています。
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